気温上昇による
「口内フローラ」の
変動と虫歯リスク
地球規模で進行している気候変動は、私たちの生活や健康にさまざまな形で影響を及ぼしています。特に気温の上昇は、身体の免疫機能や代謝系だけでなく、口腔内の微生物環境にも少なからぬ変化をもたらすことが近年の研究で明らかになってきました。本稿では、気温上昇が「口内フローラ(口腔内細菌叢)」に与える影響と、それによって引き起こされる虫歯のリスクについて、最新の知見を交えながら解説します。
1. 口内フローラとは何か
まず「口内フローラ」とは、口の中に棲む何百種類もの細菌の集合体のことを指します。これらの細菌は、主に以下の3種類に分類されます。
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善玉菌(プロバイオティクス):口腔内の環境を整える役割があり、病原菌の侵入や増殖を防ぎます。
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悪玉菌(病原菌):虫歯や歯周病の原因となる細菌で、増殖すると疾患を引き起こします。
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日和見菌:通常は害を及ぼしませんが、環境が変化すると病原性を持つ場合があります。
健康な人の口内では、これらの細菌がバランスを取りながら共存しています。しかし、外的・内的な環境要因によってこのバランスが崩れると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
2. 気温上昇と口腔内環境の変化
気温の上昇は、直接的に私たちの体温や水分代謝に影響を与えます。とりわけ、次のようなメカニズムによって、口腔内の環境が変化しやすくなります。
(1)唾液の減少と口腔内乾燥
高温環境では発汗量が増えるため、体内の水分が不足しがちになります。これにより、唾液の分泌量が減少し、口の中が乾燥します。唾液は単に食べ物を飲み込みやすくするだけでなく、以下のような重要な役割を果たしています。
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酸を中和し、虫歯菌の活動を抑える
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口腔内の自浄作用を担う
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再石灰化(歯の修復)の促進
したがって、唾液量の減少は、虫歯菌の増殖を促し、歯を守る自然な防御機構を弱めてしまうのです。
(2)細菌の増殖環境としての高温多湿
口腔内は常に湿潤な環境にあり、気温が上昇することでさらに細菌の活動が活発になります。特に酸を産生する「ミュータンス菌」などは、温暖で糖分の多い環境で急速に増殖し、歯のエナメル質を溶かして虫歯を発生させます。
(3)飲食習慣の変化
暑い季節になると、アイスクリームやジュースなどの冷たい甘いものを摂る機会が増える傾向にあります。これも虫歯菌のエネルギー源となり、酸の産生を促す原因の一つです。
3. 気温上昇による口内フローラの変動
近年の研究では、口腔内の微生物叢が気温の影響を受けやすいことが報告されています。
(1)口腔内のpHの変化
気温が上昇し、唾液の分泌が減少すると、口内のpHが酸性に傾きやすくなります。この酸性環境は、ミュータンス菌やラクトバチルス菌などの酸産生菌にとって理想的な繁殖条件です。結果として善玉菌の割合が減り、悪玉菌が優勢な環境になっていきます。
(2)バイオフィルムの発達
細菌は単独ではなく、他の細菌と共にバイオフィルム(歯垢)を形成します。気温上昇による細菌の活動促進により、このバイオフィルムがより強固になり、物理的な歯磨きだけでは除去しづらくなります。これにより、歯の表面が長時間酸にさらされ、虫歯のリスクがさらに増加します。
4. 虫歯リスクの増加要因
これらの口内環境の変化が複合的に影響し合い、次のような虫歯リスクの増加につながります。
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唾液が少ないことで、酸の中和ができず、歯が酸に弱くなる
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ミュータンス菌などが増殖し、バイオフィルムが強固になる
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甘いものを摂取しやすくなり、菌のエネルギー源が豊富になる
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自浄作用が働かず、菌が歯の表面に定着しやすくなる
このようにして、気温の上昇という一見口腔とは無関係に思える環境変化が、実は虫歯の発生に直結する可能性を持っているのです。
5. 虫歯予防のための対策
では、私たちはこのようなリスクにどのように対処すればよいのでしょうか。以下に、気温上昇による口腔リスクを軽減するための具体的な方法を紹介します。
(1)こまめな水分補給
口の乾燥を防ぐためにも、水分補給は非常に重要です。特にスポーツドリンクではなく、水やお茶を選ぶことが望ましいです。糖分の多い飲料は、かえって虫歯リスクを高めてしまいます。
(2)規則正しい歯磨きとフロスの使用
歯磨きは1日2〜3回、就寝前は特に丁寧に行うようにしましょう。歯と歯の間の汚れを取り除くために、デンタルフロスや歯間ブラシの使用も推奨されます。
(3)口腔内の保湿
口腔内を潤すスプレーやジェル、キシリトール配合のガムなどを活用し、唾液の分泌を促進させましょう。口呼吸を避け、鼻呼吸を心がけることも乾燥対策になります。
(4)食生活の見直し
糖分を控えめにし、野菜や果物、発酵食品など善玉菌を増やす食品を積極的に摂りましょう。また、食事回数を増やしすぎず、間食の習慣を見直すことも大切です。
(5)定期的な歯科検診
最低でも半年に1回は歯科医院で検診を受け、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療に努めましょう。プロフェッショナルなクリーニングにより、バイオフィルムの除去も可能です。
6. まとめ
気候変動による気温上昇は、口腔内環境にも重大な影響を及ぼします。特に唾液の分泌量の減少や細菌の繁殖環境の変化は、虫歯リスクを確実に高める要因となります。日頃からの予防意識を高め、適切なケアを継続することで、将来的な虫歯や歯周病の発生を未然に防ぐことが可能です。
環境の変化に柔軟に対応しながら、口の中の健康を守ることは、全身の健康を保つためにも欠かせません。今後ますます高まる気温とともに、私たち自身の健康意識もアップデートしていく必要があるのです。
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